昭和ダンディ

私は昭和より平成を長く生きましたが、広告業界が熱く、たぎっていて、花形と言われた昭和に活躍された先輩方と共に不夜城といわれるオフィスで夜な夜なものつくりをしていたギリギリの世代。今のように情報が溢れて答え合わせができるような時代ではないから、今よりもずっと人の個性が際立っていた時代だったし、個性に対し寛容だったと感じます。多様性が叫ばれる昨今ですが、今は答え合わせできる分、若い世代の方がより生きづらさを感じてるのではないでしょうか。

昭和の先輩方はその当時、口々に「今は花形なんて言われてる広告業界だけど、俺たちの時代は学生のときヘルメット被ってるような連中の就職先だったんだよ」と。確かに普段はとても礼儀正しく紳士的だけど、ふとした時にやんちゃな側面が見えることもチラホラ。なぜか私の周りには江戸っ子気質な先輩クリエイターが多く、未熟な私を受け入れてくれ、時に叱りつけてくれ、なにかと目をかけてくれ、飲みに連れ出してくれ、背中を押してくれ、あんな大人になりたいと憧れました。仕事の進め方も情熱的というより熱狂的という方が相応しく、ついていくだけで必死で目の回る日々。そんな先輩かつメンターとも言える方々がここ数年、櫛の歯が欠けるかのように亡くなられており残念でなりません。一昨日も昭和ダンディな元気な笑顔がまた一つ消えてしまいました。

時代は変わり人付き合いや仕事の進め方や働き方、そしてデザインや広告の表現の手段もだいぶ変わりましたが、先輩方が残してくれた本質的な価値を伝える技術はずっと残り続けます。私も先輩方と同じように若い世代と共に働き、この先も質の高い良いものを残し続けるよう切磋琢磨しながら、次の世代が夢を持って生きていける場所を作っていきたいと思います。

中村先生。本当にありがとうございました。再会した時にまた乾杯しましょう。

この記事を書いた人

Sosuke

デザインで日本の産業を元気にする。をモットーに横浜馬車道でデザイン会社を経営しております。どうぞ宜しくお願い致します。
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