60’s ミッドセンチュリーなアパート

ジョギングのコースに昔からずっと気になっている、ハーマンミラーのヴィンテージ家具がとっても似合いそうなミッドセンチュリーな建築様式のアパートがあり、通りすがりに写真を撮って眺めては内観をイメージして、そこでの「奥様は魔女」のような暮らしを妄想して楽しんでいます。

突き出た軒天の壁と正面壁面にブルーのタイルが絶妙な色調で丁寧に貼ってあります。アパート名の書体も多分フランクリンゴシックですね。

フェリス女学院の向かいにあるこのアパートの名は「STUART PLAZA」。住人も好きなものがはっきりしているセンスの良い方が多いようで駐車場には綺麗に手入れが行き届いた銀色のシトロエンCXが停まっていたり、丁寧に白いタイル張りが施されたランドリールームがあったり、革靴で歩くと「カツーン! カツーン!」と音が鳴るような贅沢なつくりのロビーに、富士山やベイブリッジや横浜港を臨む開放的な眺望のバルコニーがあったりと、もう自分が好きな世界観が詰まっているアパートなんですよね。

売りに出された当初は相当洗練されたアパートだったはず。

調べると、日本がこれから元気になっていく高度経済成長時代1969年10月に建てられたアパートのようです。そんな「STUART PLAZA」もここ最近になり、建て替えなのか、躯体の補強工事なのかわかりませんが、駐車場から車が消え、窓から人の気配が消えており、胸がざわついております。

歴史というのは建物ごと街の記憶として残り、補修や補強を重ねて「良いもの良い」と文化的な側面では語り継がれなくてはならないし、経済優先で何でもかんでも建造物を「古くなったら建て替えればいい」の発想で消耗品のように扱うと街そのものが歴史の浅いペラッペラな景観になってしまい、集う人々も様変わりすると思うんですがどうなんでしょうね。もちろん老朽化が激しく人が危険に晒される場合を除いて、ではありますが。

同じ理由で銀座の歌舞伎座ビルも私には魅力的に映らないんですよね。。。

また一つ、私の好きな山手の景色が変わってしまうのは悲しい。と建て替える前提で、勝手に悲観的になっている私でした。

この記事を書いた人

Sosuke

デザインで日本の産業を元気にする。をモットーに横浜馬車道でデザイン会社を経営しております。どうぞ宜しくお願い致します。
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