仕事が終わった後に、普段お仕事をご一緒している、建築家の方の事務所に忘れ物を取りにいきました。
暑いので、皆で差し入れのビールで一杯やっていると、その建築家の方がポツリと、
「今後は三密を避ける家作りになっていくだろうけど、実は我々にとってはそのコンセプト作りって得意な分野なんですよね」
と、よくよくお話を伺ってみると、
吉田兼好の有名な句にあるように、四季豊かな昔ながらの日本の住まいのデザインは、
「家のつくりようは、夏を旨とすべし」という温暖湿潤な気候に「順応する」こととされてきており、
住まいとは自然とのつながりだけでなく、家族や近所、街、未来へのつながりに向けた知恵の結晶だったようです。
身近な例でいうと「縁側」のようにウチ・ソトに気配を感じる「つながり」なんかがそう。みたいです。
ところが近年、時代の変化と共に高断熱で高気密の「抵抗する」家づくりに変化していったそうで、
メリットもあるのですがデメリットとしては身近な出来事との「つながり」が希薄になってしまうこと。
今後はテレワークによる在宅勤務を余儀なくされる方も多いだろうし、条件によっては三密も満たしてしまいそうですよね。
これまで「無駄」とされたスペースもないといけないよなぁ。としみじみ。
そういう意味では確かに、昔の「順応する間」は在宅勤務なんかには向いてるし、「三密」とも無縁ですよね。
なにより住んでいて気持ちいいはず。
「家の作りは、(当面は)役に立たない場所を作ったりするほうが、見た目にも面白いし、何かのときに色々と役に立って良い」(口語訳)
確かに、その通りだなぁ。昔の人のデザインの知恵に脱帽。